2008年度研究成果報告会
2008年度GCOE研究成果報告会を開催します。奮ってご参加くださいますようご案内申し上げます。
日時:平成21年4月6日(月)・7日(火)
場所:文学部新館2F第7講義室
成果概要はこちら
開催の趣旨
本プログラムは、若手研究者のイニシアティブの奨励を、最優先の課題にしてきました。COEのミッションは拠点形成ですが、そのためには意欲と実力を備えた次世代研究者が育ってくれることが、もっとも重要だからです。
1月には「次世代グローバルワークショップ」を開催し、世界10地域から26人の若手研究者を招へいし、日本の若手28人と共に、研究成果の報告と意見交換の機会を設けました。グローバルな視野、アジアからの視点の獲得と言いますが、同世代の生身の研究者と国境を越えて出会い、さしで議論することから、共感的理解を育て、新たな研究のアイデアを掴み取ってほしいと考えたのです。アジア版エラスムス・パイロット計画による次世代研究者の招へい・派遣も、同じ狙いをもっています。
若手研究者のイニシアティブの奨励ということで、本プログラムのもうひとつの柱になっているのが、このたび成果報告会を開催します「次世代研究」と「次世代ユニット」です。「次世代研究者」とは、大学院博士課程在籍者、同修了者、研究員などをさします。次世代研究者がひとりで、もしくはグループを作って、独自の研究プロジェクトを提案し、その中から優れたものを採択する、という方法で運営されています。初年度の2008年度は、24プロジェクトが採択され、年度途中での採択という時間的に厳しい条件ではありましたが、非常に熱心かつ勤勉に研究を遂行してきました。海外で調査やワークショップを実施したプロジェクトも少なくなく、若手のエネルギーと行動力に感心しています。
本日はまた、「男女共同参画に資する調査研究」というカテゴリーの4プロジェクトの成果報告も行います。これは本COEと京都大学女性研究者支援センターが共同で募集したもので、「若手研究者とりわけ女性研究者や育児中の男女研究者の研究と生活の両立支援のプログラム“リサーチ・ライフ・バランス”を若手研究者自身の手により開発し実施する」という本COEの公約の実現です。
本日はこれら28プロジェクトの研究成果が報告されますが、それだけではありません。本日の会で大切なのは、プロジェクト間の意見交換と共通する理論的課題の発見、すなわち個々の報告を聞いて、自分の観点から「突っ込み」を入れ、逆に突っ込まれ、気がついていなかった論点に気付き、発見を理論的な言葉に変えていくことです。すべてのプロジェクトは「親密圏と公共圏の再編成」という大きな課題のもとに企画されているのですから、ゆるやかであっても、お互いをつなぐリングが必ず見つかるはずです。
理論的なアイデアは、しばしばやや遠く思われるものを結びつけることから生まれるものです。本日の研究成果報告会が、参加するすべての人たちにとって豊かな成果を生みだしてくれるよう願っています。
拠点リーダー
落合 恵美子
(当日配布資料より)
4月6日(月) | |
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趣旨説明 (10:00~10:15) | |
午前の部 (10:15~12:20) | |
10:15~ | 城戸英樹、近藤正基、辻由希、安周永(次世代ユニット) 比較社会政策研究—公共圏の変化に関する日・亜・北米・欧の比較分析 |
10:40~ | 濱西栄司(次世代ユニット) 東南北アジア(日本・韓国・香港・台湾・北京・ マレーシア)の福祉レジームと社会紛争 |
11:05~ | 江南健志、大野哲也、朝田佳尚、森田次朗(次世代ユニット) 現代日本の農山漁村における親密圏の変容と再創造に関する地域社会学的研究 —東紀州地域の事例から |
11:30~ | 一條洋子(次世代研究) 農業労働力調達のための親密圏と公共圏—経済発展にともなう再編成 |
11:55~ | 増田和也(次世代ユニット) 公共圏との相互関係にみるサブシステンスの表象と実践 |
昼 食 (12:20~13:20) 午後の部 (13:20~17:05) |
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13:20~ | 蟹江恵(次世代研究) 日本の「食の外部化」とアジアの日本輸出向け加工食品生産の実態 —フードレジーム論における「東アジア食料輸入複合体」の考察より |
13:45~ | 芦田裕介(次世代ユニット) 家族の分離居住と扶養問題—過疎深度の異なる地域間比較 |
14:10~ | 高谷幸(次世代ユニット) 脱国家化された公共圏/親密圏の可能性—非正規移民支援を事例として |
14:35~ | 山本理子(次世代ユニット) 家庭内における非家族成員による家事の代替可能性 —フィリピン駐在の日本人主婦のメイド雇用の実態から |
15:00~ | 有薗真代(次世代ユニット) ハンセン病者の生活世界とその変容に関する社会学的研究 —ジャワ島・バリ島(インドネシア)の患者集住地区を事例として |
15:25~ | 大越香江(男女共同参画) 京都大学医学部附属病院の女性医師支援のための調査 |
15:50~ | 小岸久美子(男女共同参画) 京都大学職員の昇任における男女格差に関する調査 —男女共同参画による、よりよいライフワークバランスをめざして |
16:15~ | 有田恵、大石高典、内田由紀子、平石界(男女共同参画) 研究者のウェルビーイング―対人関係がパフォーマンスと精神健康に与える影響 |
16:40~ | 織田暁子(男女共同参画) 京都大学における育児支援に関する提言―国際比較の視点から |
懇親会 (18:00~ 、BON VIAGGIO) | |
4月7日(火) | |
午前の部 (10:00~12:05) | |
10:00~ | Renato Rivera(次世代ユニット) 異文化間の親密の関係性の構築をめぐる研究 |
10:25~ | 加藤眞理子(次世代ユニット) 東北タイ農村における高齢女性と仏教―高齢社会に向けてのプロローグ |
10:50~ | 赤枝香奈子(次世代研究) 日本とタイにおける同性間の親密な関係の国際比較 |
11:15~ | 高橋顕也・車愛順(次世代ユニット) オンライン・コミュニケーションにおける「世論」と公共圏の分化をめぐる日韓比較調査 |
11:40~ | 平田知久(次世代ユニット) 東アジア諸国におけるITメディア環境の展開と親密圏・公共圏の変容 |
昼 食 (12:05~13:00) | |
午後の部 (13:00~16:45) | |
13:00~ | キムヒョンソン(次世代ユニット) 東アジア地域におけるサッカー交流の探求 —ナショナリズム、人種主義、グローバリズムの観点から |
13:25~ | 石井和也(次世代ユニット) 京都市におけるコンビニエンス・ストアをめぐる意識調査 —都市における公/私概念の再構成に向けて |
13:50~ | 西川知亨(次世代ユニット) シカゴ学派都市社会学のアジア「親密圏」分析への応用可能性 |
14:15~ | 溝上宏美(次世代ユニット) 福祉国家における親密圏・公共圏の交錯に関する事例研究 —戦後イギリスにおける外国人労働者支援と女性団体の役割 |
14:40~ | 李洪章(次世ユニット) 在日朝鮮人社会における親密圏と公共圏の変容 |
15:05~ | 本田恭子(次世代研究) 混住化が引き起こす都市近郊農村の親密圏と公共圏の再編成 |
15:30~ | 木村至聖(次世代ユニット) 移動する家族の生活史―旧産炭地を事例として |
15:55~ | 越智正樹(次世代ユニット) 八重山戦後開拓集落と母村との間の親族間交流の変容 |
16:20~ | Pongsapitaksanti Piya、木村晶彦(次世代ユニット) アジアのテレビ広告における家族像―日本・中国・台湾・タイの国際比較研究 |
総 括 (16:45~ ) |
2009年3月26日(木) 22:58 JST