金戸幸子

所属:
京都大学グローバルCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」研究員

履歴:
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位修得、専門社会調査士。台湾社会を中心に「東アジアにおけるグローバリゼーションとジェンダー」の国際社会学的アプローチによる研究に従事。2006年、台湾・中央研究院民族学研究所訪問研究員(財団法人交流協会日台研究者支援事業2006年度派遣研究者)、2007年~2008年、英国・ブリストル大学東アジア研究所協力研究員、2008年度より東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターフェロー、2009年4月1日付で着任。

専門分野:
国際社会学、比較社会学、台湾と沖縄を中心とする東アジア地域研究

主要業績:

1.  「ジェンダー視点からの〈国家〉再編—台湾における「両性工作平等法」成立の背景と要因に関する考察を事例として—」(財団法人アジア女性交流・研究フォーラム編『アジア女性研究』第14号)、2005年、44-53頁。
2.  「台湾の「両性工作平等法」成立過程に関する国際社会学的考察—多様化社会建設に向けた国家戦略としてジェンダー主流化をめぐって—」(日本台湾学会編『日本台湾学会報』第7号)、2005年、17-43頁。
3.  (書評)林泉忠著(2005)『「辺境東アジア」のアイデンティティ・ポリティクス—沖縄・台湾・香港』(アジア政経学会編『アジア研究』第51巻第4号)、2005年10月、83-87頁。
4.  (書評)Hiroko Sakamoto, 2004, A Mythology of Chinese Nationalism: Race, Body and Gender (=坂元ひろ子著(2004)『中国民族主義の神話—人種・身体・ジェンダー』), China Information: A Journal on Contemporary China Studies Volume XX, no. 1 (March 2006), edited by Universiteit Leiden, Netherlands, Sage: London, pp.135-137.
5.  「亞洲的自發性日本移民: 以台北・上海為例」(台湾・南華大學社會科學院亞太研究所編《亞太研究通訊》第四期)、2006年、63-87頁。
6.  「人口と家族変容から見えてくる台湾の高齢者問題」(国立社会保障・人口問題研究所編『海外社会保障研究』第157号)、2006年、71-79頁。
7.  「1930年前後の八重山女性の植民地台湾への移動を促したプル要因—台湾における植民地的近代と女性の職業の拡大をめぐって—」(琉球大学移民研究センター編『移民研究』第3号)、2007年、1-26頁。
8.  「現代台湾における日本人の動態とその新たな展開—台湾でキャリア構築を目指す越境動機の分析を中心として—」(台湾史研究会編『現代台湾研究』第32号)、2007年、20-45頁。
9.  「1930年代以降の台湾における植民地的近代と女性の職業の拡大—八重山女性の職業移動を通じた主体形成を促したプル要因との関連を中心に—」(財団法人東海ジェンダー研究所編『ジェンダー研究』第11号)、2008年、173-197頁。
10.  「台湾社会のグローバル化が台湾の労働と格差に与えた影響―外国人労働者および外国籍配偶者増加との関連を中心に―」(日中社会学会編『21世紀東アジア社会学』第2号)、2009年、136-156頁。
11.  「現代台湾における多文化社会の展開と「新移民」問題」永野武編著(日中社会学叢書 グローバリゼーションと東アジア社会の新構想 第2巻『チャイニーズネスとトランスナショナル・アイデンティティ』明石書店、第8章部分執筆、2009年、233-275頁。
12.  「日本人の越境するライフスタイルにみる現代日本をめぐる“もうひとつの”多文化化―台湾でキャリアの再/構築をめざす日本人の国民国家を超える複合的な戦略から―」(東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター編『多言語・多文化―実践と研究』第2号)、2009年、印刷中。

所属研究班:
フィールド調査班

現在の研究テーマとGCOEへの抱負:
  現在の主たる研究テーマは、「台湾および台湾をめぐる境界領域におけるジェンダー、労働、人の移動の社会学的分析」である。関連する研究として取り組んでいるテーマはいくつかあるが、とりわけ、90年代中期以降、周辺諸国・地域からの人の移動をめぐって、一種の“コンタクト・ゾーン”としての様相を呈している現代の台湾および台湾をめぐる人の移動の動態、さらにその背景要因から、東アジアにおけるグローバルなジェンダー、エスニシティ、社会階層をめぐるハイエラルヒーの台湾というローカルな文脈における再編強化と、それが周辺社会に与えるインパクトについて研究している。
台湾という地域は、歴史をみれば、外来要素によって形成されてきた特殊な「国家」である。したがって、台湾社会の諸事象を捉えていく際、台湾特有の歴史的、政治的文脈に即した視点からの考察はもちろん必要であるが、他方で、〈境界〉を跨った、あるいは〈境界〉を越えた事象から逆照射し、それが周辺社会に対していかなる普遍性や問いかけを持つのか、東アジア全体を見据えたトランスナショナルな角度からの考察がなされていく必要性がある。
本GCOEでは、 「親密圏」と「公共圏」の再編をめぐって私たちの周りで起きているさまざまな事象の解明を通じて、政治学や国際関係論などが規定してきた国民国家の〈境界〉に対し、東アジアにおける地域秩序の平等に向かう再編に向けて、文化や社会のレベルでの〈境界〉をどのように規定できるか考察を掘り下げていきたいと考えている。

GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」における活動:

(1) 委員会・役割分担等
  フィールド調査班テーマ別研究会「労働班」総括担当者
(2) 研究プロジェクト
 ・ 次世代研究ユニット「変わる日本人の就労・ライフスタイルとトランスナショナル化する東アジア」(2009-2010)研究代表者
 ・ トヨタ財団研究助成「東アジアにおける結婚移民とコミュニティの再生産に関する研究―移動・家族の機能変化・ネットワーク構築」(2009年度採択)共同研究代表者
(3) このGCOEに関連した成果公表(2008.7~)等
 ・ 「台湾における多文化主義をめぐる寛容・非寛容?移民・外国人をめぐる政策的展開を事例として」(東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター「世界の多言語・多文化社会研究」国際シンポジウム トランスナショナル/トランスカルチュラルな比較地域研究) 2009年2月15日、於:東京外国語大学、口頭報告。
 ・ 首藤明和・落合恵美子・小林一穂編著(2008)日中社会学叢書 グローバリゼーションと東アジア社会の新構想第4巻『分岐する現代中国家族』明石書店、コメンテーター(日中社会学会第21回大会書評セッション)、2009年6月7日、於:名古屋大学。
 ・ 「1990年代之後在台日本人的動態與變貌 “Dynamism and Change in the Japanese Community in Taiwan since the 1990s”」(京都大学・国立台湾大学共催「東アジア社会学国際学術検討会」)、2009年7月24日、於:京都大学、口頭報告。

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