加藤敦典

所属: 京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」研究員(2011年度)

履歴:
2001年  4月 大阪大学 大学院人間科学研究科 博士前期課程 修了
2001年10月 ハノイ国家大学留学(至2003年9月)
2004年  4月 大阪大学 21世紀COE「インターフェイスの人文学」 R.A.(至2005年3月)
2005年  4月 日本学術振興会特別研究員(DC2・COE、大阪大学)(至2007年3月)
2005年  4月 和歌山県立医科大学 保健看護学科 非常勤講師(至2008年3月)
2006年  4月 豊中市立 豊中看護専門学校 非常勤講師(至2008年3月)
2006年  4月 大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程 単位取得退学
2007年  7月 堺市国際文化部国際課 非常勤職員(至2008年3月)
2008年  4月 日本学術振興会特別研究員(PD、南山大学)(至2011年3月)
2009年  3月 大阪大学より博士号(人間科学)を授与
2010年  1月 トロント大学 人類学部 訪問研究員(至2010年9月)
2011年  4月 現職
 

主要業績:
・2004 「ベトナムにおける『民主』と村落共同体――『基層レベルにおける民主制度規定』の分析より」『年報人間科学』第25巻、183 -198頁。

・2006 「民主主義の民族誌と民族誌の民主化――人文学における臨床的アプローチのために」<若手研究集合>報告書編集委員会(編)『2005年度<若手研究集合>成果報告書』大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、57-77頁。

・2007 「活動中の民主主義のために――文化人類学からの問いかけ」若手研究集合(編)『人文学討議空間のデザインと創出――若手研究集合』大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」、151-161頁。

・2008 「動員と連帯の跡地にて――自主管理時代のベトナム村落における統治のモラルの語りかた」石塚道子、田沼幸子、冨山一郎(編)『ポスト・ユートピアの人類学』人文書院、113-134頁。

・2009 『統治のモラルの民族誌――『自主管理』の時代を生きる中部ベトナム村落住民の政治人類学的研究』

・2009 「『文化的むら』をめぐる『騒ぎ』――ベトナムにおける国家と住民の関係性をめぐる政策の人類学」『南山考人』第37号、23-44頁。

・2010 “Tinh da thanh cua chinh sach: Mot qua trinh ly giai ve chuong trinh tin dung nho o vung nong thon Ha Tinh,” Truong Diep Vy Tran (dich), Luong Van Hy et. al. (dcb.) Hien Dai va Dong Thai cua Truyen Thong o Viet Nam: Nhung Cach Tiep Can Nhan Hoc. Q.1 Nxb. Dai Hoc Quoc Gia Thanh Pho Ho Chi Minh, tr. 151-164.(「政策の多声性――ハティン省農村地域における小規模金融プロジェクトのひとつの解釈プロセス」Truong Diep Vy Tran(訳)、Luong Van Hyほか(編)『ベトナムにおける伝統の現在と動態――人類学的アプローチ』第1巻、ホーチミン市国家大学出版、151-164頁、ベトナム語)

・2011 「近代のプロジェクトとしての村落調停――社会主義建設期ベトナムの和解組制度にみる共同体の物語」小長谷有紀・後藤正憲(共編著)『社会主義的近代化の経験――幸せの実現と疎外』明石書店、46-69頁。

・2011 「義のない風景――ベトナムの文学作品にみる法と社会の外がわ」石田慎一郎(編)『オルタナティブ・ジャスティス――新しい<法と社会>への批判的考察』大阪大学出版会、279-302頁。

所属研究班:

現在の研究テーマとGCOEへの抱負:

 ・現在の研究テーマ:
ベトナムの村落地域の婦人会がつくりだす親密な公共圏
    これまでは、現代のベトナム社会における「自主管理」的な村落統治の展開をめぐる民族誌的フィールド調査をおこなってきた。
このGCOEプログラムでは、次のふたつの研究をおこないたい。
    第一に、むらの婦人会幹部たちのライフ・ヒストリーの聞き取りである。これまでにインタヴューした何人かの年配の婦人会幹部たちが語ったことから、彼女たちが婦人会の活動に積極的に関与するようになった背景には、夫をベトナム戦争の戦場に送り込み、ひとりで家庭を守らなければならない状況があったこと、そのなかで家庭を代替・補完するような親密な連帯を求める気持ちがあったことが見えてきた。今後の調査では、婦人会の活動にさほど熱心でない人たちも含め、さらに多くの女性たちのライフ・ヒストリーを重ねることで、家族を代替・補完する親密な公共圏としての婦人会の歴史的形成過程をローカルな視点から明らかにしていきたい。
    第二に、婦人会での女性同士の連帯の実際のありかたを参与観察に基づいて明らかにしていきたい。これは、私のメインテーマである村落統治論にもかかわる問題である。婦人会の幹部たちは「女性らしい仕事のやりかた」を強調する。たとえば、会員同士で喜びや悲しみを共有すること(chia se)や、子供の面倒をみるときのように、先々のことを考えながら慎重な配慮をする(lo lang)ことの重要性を彼女たちはよく語る。こういった語り口は「女性の政治」をインフォーマルで、家庭的で、情緒的な語彙と結びつけるイデオロギー的言説として分析することも可能である。しかし、むしろ私は、彼女たちのいう「女性らしい仕事のやりかた」を彼女たちがどうやって実践しているのかを明らかにすることに重点を置いて調査してみたい。たとえば、婦人会幹部たちによる家庭内紛争への介入の実態調査などが手がかりになるだろう。
    「女性らしい仕事のやりかた」がつくりだす婦人会でのコミュニケーションの特色と、それがつくりだす親密な公共圏のありがたを描き出すことによって、ニコラス・ローズがいう「コミュニティを通した統治」のプログラムが、「むら」という単一の共同体を構築することによって発動するものであるというよりは、むしろ、「むら」のなかに併存する差異化された複数の公共圏を介して作動するものであることが明らかになるのではないかと考えている。

・GCOEへの抱負
    このGCOEプログラムの海外パートナー拠点であるベトナム社会科学院ジェンダー研究所やトロント大学(留学経験あり)の研究者たちとともに、ベトナムの事例を中心に、家族を代替・補完する結社組織(大衆団体や宗教団体など)における親密な公共圏の形成に関する共同調査を実施し、その成果を英語、日本語、ベトナム語で公刊したい。
 
GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点における活動:

1 研究プロジェクト

(1)

(2)

2 成果公表(2011.4-)等(成果刊行物、口頭報告等のリスト)順次蓄積:

(1) 成果刊行物

(2) 口頭報告

 

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