松田素二

所属:京都大学文学研究科 教授
学位:京都大学博士(文学)
主要業績
田中雅一・松田素二編,2006,『ミクロ人類学の実践』世界思想社,466頁
松田素二・古川彰編,2003,『観光と環境の社会学』新曜社,298頁
松田素二,2003,『呪医の末裔――東アフリカ・オデニョ一族の二〇世紀』講談社,286頁
《論文》
松田素二,2008,「グローバル化時代における共同体の再想像について」『哲学研究』(刊行予定)
松田素二,2007,「過去の傷はいかにして癒されるか――被害を物語る力の可能性」棚瀬孝雄編『市民社会と責任』有斐閣,111-138.
松田素二,2007,「グローバル化時代の人文学――アフリカからの挑戦」紀平英作編『グローバル化時代の人文学対話と寛容の知を求めて』京都大学出版会,118-45.
松田素二,2007,「21世紀世界におけるアフリカの位置――アフリカに学ぶ、社会を癒す知恵」松原正毅編『2010年代 世界の不安、日本の課題』総合研究開発機構,477-494.
松田素二,2007,「複数化する間身体――現代ケニアのムンギギ・セクトを事例として」菅原和孝編『身体資源の人類学』弘文堂,231-59.
Matsuda, Motoji, 2006, “Overcoming the Predicament of SocialResearch,” Akira Furukawa ed., Frontiers of Social Research, Trans Pasific Press: 1-18
Matsuda, Motoji, 2006, “Reconciliation and Redress in Post-colonial East Asia: Creativity of Narrative of Suffering,” New Currents in Asian Studies in/Between National Boundaries, Kyujanggak Institute for Korean Studies, Seoul National University: 60-85.
所属研究班: フィールド調査班
現在のテーマとGCOEへの抱負: 
・これまで成果をあげてきた教育研究領域は、以下の三つに大別できる。それらは、まず第1に、共同体の再編成に関わる領域であり、第2にエスニシティ・アイデンティティ研究、そしてフィールドワークの方法論をめぐる領域である。
・まず第1の教育研究領域である共同体の再編に関して、松田は、従来の近代化にともなう共同体の変容モデルが、共同体の衰退解体を強調する「脱伝統化」モ デルと、共同体の再生強調に注目する「再伝統化」モデルの振り子のなかに位置づけられてきたことを批判して、伝統の要素を再編成再創造する「換骨奪胎」過 程を核心にすえた「生成モデル」を提唱し、アジアやアフリカの都市社会をフィールドにして、その過程を解明してきた。松田は、みためはたしかに伝統回帰だ が、その内実は、雑多で新奇な社会関係萌芽が混在するダイナミックな創造過程が進行していることを、疑似家族の創造などを事例にして詳細に実証して見せ た。松田の共同体研究の特徴は、徹底した日常性への依拠であり、これまで取るに足らぬ世界とされてきた普通の生活者の生活世界のなかに、圧倒的に強力な権 力へのレジスタンスや、社会保障、世界観形成、経済再生などにまつわる、共同体再生の可能性が秘められていることを明らかにし、日常性のダイナミズム研究 という領域を共同体研究のなかに確立した。これらの点については、たびたび国際研究集会に招待され講演を依頼されており、放送大学やNHK高校生講座など を通して、広く社会の学習ニーズにも応えている。
・第2の研究領域は、エスニシティ・アイデンティティである。松田の立場は、現在アジア・アフリカで見られる民族・部族紛争は、植民地支配の過程で、西欧的 民族観念が強制的に移植され、統治に利用された結果であり、アジア・アフリカ社会には、それとは別個の独自の民族編制原理を創り出していたし、いまもその 営みが確認できるというものだ。端的にいえば、今日グローバルスタンダードとなった西欧的民族観念は、単一で固定的な民族アイデンティティを要請するが、 アジア・アフリカ社会においては、複数で柔軟な民族アイデンティティが形成され、それによって、民族間の垣根を低くし相互の全的対立を防いできたことが明 らかにされた。このような松田の民族形成論は、家族の形成についても適用され、普遍的家族モデルとは異なる、地域文化に根ざした家族モデルの確立を強調し ている。この視点は、海外でも高く評価され、2002年新版が出版されたスメルサーなどが編集する「国際社会科学・行動科学事典」にもこの項目を執筆して いる。
・第3のフィールドワークの方法論は、近年、社会学や人類学の内部から起こってきたフィールドワーク批判への根源的批判を中心にして21世紀のフィールド ワーク論を展望している点で、今日論争の中心に位置づけられる論考である。ポストモダンの装いをもつ民族誌批判に対して、松田は、フィールドワークを擁護 し再生を展望する立場から、論考を発表してきた。そのなかで、現実にコミットし現状の変革に参画するフィールドワーク、対象との差異をそのままにして実感 にもとづいて共感交歓するフィールドワークの可能性を追求しているのである。この視点に基づいて、関西を中心としてのべ10の大学の院生学生が参加してき た合同社会調査実習「地域に学ぶ」を、三重県東紀州地域を対象にして10年以上継続し、多大な教育効果をあげてきている。
GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点における活動
委員会等

・教育実践部門責任者
・拠点委員会
・運営委員会
 

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