押川文子

所属:京都大学 地域研究統合情報センター(情報資源研究部門)・教授
学位:お茶の水女子大学文学修士
主要業績
《著書・編著書》
Oshikawa, Fumiko ed., 2002, South Asian Migration in Comparative Perspective: Movements, Settlements and Diaspora, JCAS Symposium Series 13, Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology.
Oshikawa , Fumiko ed., 2000, Fussing Modernity: Appropriation of History and Political Mobilization in South Asia, JCAS Symposium Series No.11, Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology. 押川文子編,1997,『南アジアの社会変容と女性』アジア経済研究所,251頁.
押川文子編,1996,『叢書 カースト制度と被差別民 第5巻フィールドからの報告』明石書店,592頁.
押川文子編,1992,『インド農村の社会政治変容と開発』アジア経済研究所,225頁.
押川文子編,1990,『インドの社会経済発展とカースト』アジア経済研究所,223頁.

《論文》
押川文子,2003,「インドのIT産業――ネットワークと分断」青木保他編『アジア新世紀5 市場』岩波書店,61-74.
押川文子,2000,「インド英字女性雑誌を読む――90年代年ミドルクラスの女性言説」『地域研究論集』3(2): 64-91.
押川文子,1998,「『学校』と階層形成――デリーを事例に」古賀正則・中村平治・内藤雅雄編『現代インドの展望』岩波書店.
押川文子,1994,「原皮流通の変化と『皮革カースト』」柳沢悠編『叢書カースト制度と被差別民第4巻 暮らしと経済』明石書店,289-326.
押川文子,1994,「インド政治とカースト――『後進諸階級』問題を中心に」中兼和津次編『講座現代アジア第2巻 近代化と構造変動』東京大学出版会,295-329.
押川文子,1994,「反留保アジテーションとインド社会――1990年の事例を中心に」『アジア経済』35(4): 25-49.
押川文子,1989,「インド社会像におけるカースト」『アジア経済』30(3): 5-29.
押川文子,1987,「インドにおける家計支出の変化」『アジア経済』28(3): 39-55.
押川文子,1981,「独立後インドの指定カースト・指定部族政策の展開」『アジア経済』22(1): 26-45.

所属研究班: フィールド研究班
現在のテーマとGCOEへの抱負
  南アジア社会、とくに現代インド社会を対象に、下位カースト集団・少数民族集団や家族の変化を経済発展、政治変動、および政治・行政の枠組と関連づけて理解する作業を続けてきた。換言すれば、ミクロな生活世界で生起する親密圏とマクロな政治経済システムによって構成される公共圏の折衝と相互作用に焦点をあてた新しいタイプの地域研究としての現代インド社会論の構築を試みてきた。こうした問題設定のために本研究は、フィールドワークの手法による生活世界の実証的解明と同時に、政治経済構造に規定された階層・意識の変化を把握するための数量的調査を採用する。このミクロとマクロ、質的調査と量的解析を総合する手法は本研究の方法論的特徴である。
  上記の基本的な問題設定のもとに継続してきた中心的な教育・研究のテーマは以下の3点である。
1.現代インド社会におけるカーストと少数民族集団の変容
  独立後に導入されたインド型のアファーマティブ・アクション(「留保制度」)をめぐる議論やその効果、政治的反応などを手がかりに、インドの国民概念における不平等の位置づけを明らかにするとともに、「アイデンティティ・ポリティクス」と一括されやすいカーストを単位とする政治運動の多様性を論じた。カーストという社会カテゴリーの生成とそれにもとづく共同性および排他性の創出は、近代的社会編成原理といっけん相対立するように見えるが、両者のあいだの折衝交渉接合の複雑で重層的な過程をフィールドワークと資史料解析によって検討してきた。たとえば接合過程としては、皮革業などを事例に、産業の近代化や商品経済の浸透が、カースト間分業をダイナミックに再編成していく過程を具体的に実証してみせた。
2.現代インドにおける家族集団の変容
  現代インド社会において、伝統的男女の役割規範にもとづく家族的価値の強調、近代社化がもたらした新たな関係としての近代家族的価値の増強、されには、グローバル化のなかでそれらから離脱して新たな関係性を志向する力との衝突・相克は中心的テーマとなりつつある。そこで本研究では、都市中間層を対象として、「近代家族」やその守り手としての「良妻賢母」イデオロギーの形成とその特質について、これらの主婦層を読者とする雑誌の記事分析などを通じて考察し、新たな親密圏の出現の可能性を論じた。
3.現代インドにおける教育と社会移動
  グローバル経済のなかで急成長をとげるインド社会では、貧富の格差が急激に拡大しながら、新たな階層形成とメリトクラシー化が振興している。本研究では、首都デリーを事例として、学歴形成と階層の問題を実証的に論じ、教育を通じた階層の構造が再生産されていく状況を明らかにした。
  フィールドワークを中心とする人類学の伝統とマクロ分析に偏重する経済史的、国際関係論的考察が地域研究のなかで住み分けられている現状を批判して、その統合総合接合をはかる本研究の視点は、国際的にも評価されており、そのことは、多くの国際学会・研究集会からの招待講演あるいは報告依頼によって証明されている。 
GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点における活動
委員会等
・研究推進部門責任者
・拠点委員会
・運営委員会
 

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