所属:京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」研究員(2012年度)
履歴:
2002年 3月 筑波大学大学院地域研究研究科地域研究専攻修了(地域研究修士)
2007年 4月 国際ティビィシィ看護専門学校 非常勤講師 (2011年3月31日まで)
主要業績:
・〈从房屋到家——马来西亚华人对廉价屋的家居改造及日常实践〉田中仁・江沛・许育铭編《現代中国與東亜新格局・第一輯》73-83頁、(印刷中)。
・“Social Relations of Marriage and House” 平井芽阿里・中山大将編、『京都エラスムス計画2010年度中国社会研究短期集中プログラム成果報告―南京市・江蘇省南部の都市と農村-』、京都大学大学院経済学研究科「京都エラスムス計画」事務局・京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センター、2011年2月24日、9-18頁。
・『家をめぐる人類学的研究―マレーシア華人とテラスハウスの相互構築的民族誌』、 筑波大学大学院人文社会科学研究科博士学位論文、2010年3月25日、総213頁。
所属研究班:フィールド調査班
現在の研究テーマとGCOEへの抱負:
・現在の研究テーマ
・GCOEへの抱負
これまで、マレーシア華人社会は漢民族社会研究の系譜上に位置付けられ、父系社会として固定的に分析される傾向があった。本GCOEで推進する研究では、この固定的な視座からの脱却を目指し、都市と故郷を往復しながら子育てと労働を両立させる華人女性の養育実践と家族関係の事例から、父系関係だけではない双系的ネットワークによって維持される社会関係の実際を検討することを目指す。
既に2010年度に実施した現地調査からは、マレーシア華人社会における子どもの養育は父系系譜関係によってのみ維持される実践ではなく、父系あるいは母系のゆるやかなネットワークによって、あるいは非親族やナーシングマザーといった外部の協力、地域コミュニティとの関係性によって可能となることが明らかとなった。つまり、マレーシア華人社会における子どもの養育とは、親子を取り巻く家族という親密圏と非親族や地域コミュニティといった公共圏の関わりなくしては維持できない実践であるといえるだろう。
今後は、父系系譜関係だけではないより大きな社会関係により維持され実践可能となる子どもの養育実践も視野に入れて検討することを試みる。また、「訃告」と称されるマレーシア華字紙の葬式案内記事に掲載される親族の範疇と掲載実態の事例からマレーシア華人社会の親族関係の変化を指摘し、より包括的な親族関係の実際を議論したい。
GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点における活動:
1 研究プロジェクト
(1) 櫻田涼子「都市と故郷の往還的移動による家の維持―マレーシア華人社会における女性の労働と子どもの養育をめぐる人類学的研究」次世代研究ユニット(2010年度)
(2)
2 成果公表(2010.4-)等(成果刊行物、口頭報告等のリスト)順次蓄積
(1) 成果刊行物
・“Connecting Places: Women’s Circular Networks and Child-rearing Practices among Chinese Malaysians”, Proceedings of the 3rd Next-Generation Global Workshop, Kyoto University Global COE "Migration: Global Reconstruction of Intimate and Public Spheres”, 2011, (in printing).
(2) 口頭報告
・「華人」とは誰か:複数の呼称をめぐる視点と実際」(問題提起)・「 画一性から生みだされるもの:多民族国家マレーシアの住宅団地とマレーシア華人」東アジア人類学研究会第22回研究会「華人」とは誰か:複数の呼称をめぐる視点と実際」2011年2月27日、東京外国語大学。
・“Making Own Places: Studies on Lives of Chinese Malaysian in Low Cost Housing Estate” Mauss Seminar at School of Social and Behavioral Sciences (南京大学社会学院・人類学研究所“謀思談”), September 9, 2010, Nanjing University, China.